第一の呼吸は、言うまでもなく体内に酸素を取り入れ、
二酸化炭素を排出することです。
息を吸い、息を吐くという一見単純な呼吸運動は脳からの
指令で動く呼吸筋の働きによります。
脳神経、呼吸筋、肺などが複雑に関係しあい、呼吸は成り立っています。
生命活動をコントロールする脳の働きがかわれば、呼吸も変わってくるのです。
無意識の呼吸で酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する呼吸の
中枢は脳の延髄(えんずい)と橋(きょう)にあります。
酸素が無いと100兆個以上ある我々の体の細胞は生きていけません。
また、二酸化炭素はなければ良いというものではなく、
存在しないと体はアルカリに傾いてしまいます。
呼吸中枢により適切な量にコントロールされているのです。
○呼吸のペースメーカー
呼吸中枢で呼吸のリズムが作られていますが、
そのリズムをつくるペースメーカー細胞は脳の中に存在しているのでしょうか。
ペースメーカー細胞で 有名なのは心臓の洞結節に
あるペースメーカー細胞で、心臓はそのペースで拍動しています。
呼吸中枢にペースメーカー細胞があるかどうかは
近代呼吸 生理学の研究がスタートした19世紀中ごろからの永遠のテーマでした。
なかなかその細胞が見つからなかったのです。
私たちの研究室がその細胞の存 在を明らかにしました。
1980年代のことです。
○呼吸によって体に取り入れた酸素は、(血液に酸素を供給)
生命のエネルギーを生み出すために(細胞のエネルギー代謝に酸素が必要)
使われています。
○酸素は体内に取り入れた三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)を
分解してエネルギーを 生み出します。これをエネルギー代謝といいます。
○エネルギー代謝に必要な換気量が決まります。
換気量は呼吸筋の収縮で得られます。
呼吸運動は、胸の周りにある筋肉(呼吸筋)の働きによって行われています。
息を吸うための筋肉を「吸息筋」、息を吐くための筋肉を「呼息筋」と呼びます。
脳にある呼吸中枢が、体内の酸素や二酸化炭素の量をチェックし、
呼吸をコントロールしています。
吸息筋が収縮すると胸は広がり、それにつれて肺が膨らみます。
呼息筋が収縮すると胸は縮み、それにつれて肺は縮みます。
主要な吸息筋は横隔膜と外肋間筋です。横隔膜が収縮すると腹圧が高まり、
おなかが膨らみます、これを腹式呼吸といいます。
外肋間筋が収縮すると胸の上部が広がります、これを胸式呼吸といいます。
主要な呼息筋は腹筋と内肋間筋です。
年齢とともに胸は縮みにくくなりますから、腹筋は鍛えておきましょう。