代表世話人挨拶

初代代表世話人
順天堂大学名誉教授 福地 義之助

20世紀の後半になって感染症を中心とする急性呼吸器疾患の診断と治療は飛躍的な進歩を遂げた。それに伴って日本を含む近代工業国においては慢性呼吸器疾患が増加し生存率の改善と並んで長期にわたる患者さんの生活の質(QOL)の向上が治療目標の柱となっている。呼吸リハビリテーションンは薬物治療と並んで慢性呼吸器疾患患者さんのQOLの改善を目指す治療の中核をなすものである。しかしながら我が国における呼吸リハビリテーションへの取り組みは欧米に比べ日も浅く臨床的な基準の確立や施行技術の習得は容易ではない。日本呼吸器学会や日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が中心になって積極的に取り組んできたが基礎科学領域からの寄与・貢献は十分といえない状況が続いた。
2006年(平成16年)に昭和大学第二生理学教室の本間生夫教授から我が国における呼吸リハビリのサイエンスの振興を目的にした有志の会を発足させたいとのご提案を頂いた。私も全面的に賛同して、このフォーラムが立ち上がった次第である。幸いにも志を同じくする多くの優れた基礎研究者、臨床家、理学療法士のご参加を得ることができて年次開催を重ねて9回目のフォーラムを2014年に開催するに至った。この間のプログラムはHPでご覧いただける通りで、第5回までは欧米の呼吸リハビリテーション分野の著名な研究者を招いて日本の研究者との交流を図る企画を組み込んだ。第6回以降は本間教授グループが開発したシクソトロピー体操の講習をプログラムのハイライトとする独自性の高い内容に進化したと信じている。2015年で発足10年を迎える此のフォーラムは多くの関係業界の会社からスポンサーシップを頂き世話人各位の多大なご尽力を得て今日まで初期の目標に近づく歩みができたものと感謝する次第である。今後も参加者のその後のキャリアーの向上に役立ち、ひいては病む人々に成果が還元されるようなフォーラムとして活動を継続できるように念願している。